労基署が来た! ブラック企業ってなあに?

労基署が来た!
ブラック企業って何がブラック企業なの?


労基署の立入検査は、
ある日突然何の前触れもなくやって来ます。

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「所長、お客さんですよ。ローキさんが来ました。」
「誰だ!?ローキさんって?」

出ていくと、スーツ姿の男がいます。

『責任者の方ですか?』
「はい、私です。」

『○○労働基準監督署の●●と言います。ちょっと、お話よろしいですか?』
と言って、身分証明書を見せられ

(あれ?臨検か!?)と思い、ちょっとドキドキしながらも平静を装い
「あ、立ち話もあれなんで、応接へどうぞ」
と言って、奥へ通します。

名刺交換を済ませると
『いやー、すみませんね。お忙しいのに。どの会社さんにも同じように伺って、
定期的に回らせて頂いているものですから、お手数ですが、幾つか、書類を
拝見させてもらえますか?』

口調はやさしいのですが、目つきは明らかに普通のサラリーマンとは違います。

事業所調査臨検と言われる巡回があり、
前者はこの方がおっしゃる通りで、
サンプリングして法律改正の内容が徹底されているか、
必要書類がそろっているか、などを確認されます。

このとき、責任者の理解度も試されますので、
ある程度の知識が必要です。

管理職になりたて、だとか、
給料は本社で計算している等の言い訳は通りません

あわてないために、準備しておくべき書類は下記のようなものがあります。
1.就業規則および給与規定
 ① 残業時間の計算方法
 ② 給与の計算方法
2.36協定書(写し)
3.給与台帳
4.出勤簿、タイムカード
5.時間外労働100時間を超えた時の対策規定
6.雇用契約書 などがあります。

ご参考まで。
私が管理していた職場では、
下記のようにクリアポケットに入れてファイルさせていました。
http://masumisato.com/wp-content/uploads/2015/09/2f1d1278ed8993d241cc5167c84251f7.pdf  

 


労働基準監督署の立入検査というと、
ものすごく怖いイメージですが、
いきなりやってきて逮捕されるということはありません。

ただし、「署」がつくので、検査や立件ができます。
※警察署、消防署、税務署、労働基準監督署

定期的な検査でない場合は、
なにかしらの通報があることが前提のようです。

一番摘発されるケースは
「賃金の不払い」です。

摘発されるとどうなるのか

というと遡って不払い賃金の
「指導」をされます。(言葉よりかなり重い内容です)

その計算根拠として
タイムカードのコピーを過去何年分、とか提出し
差額計算書を作成して支払うことになります。

訴えた人一人の分だけでなく
事業所の社員全員分を調べて足りない分の支払いが完了
もしくは予定を正確な内容で是正報告しなければなりません。

税金の申告もし直す必要があります。

なんでこんなことが詳しいのかというと、

以前、他の事業所で
誤った計算をしていたため、社員から労基署に相談があり

一か所そのような事業所があると、
全国の労基署が目をつけて一斉に入ってくるのです。

 


 

さて、賃金の不払いとなる
主な原因は「残業代」です。

労働基準法では原則的な労働時間を
1日8時間
週40時間
と定めています。

これを超える労働は「禁止」となっています。

(月間変形労働時間や
年間変形労働時間もありますが
ややこしくなるので、省きます)

現実問題、8時間で終わらない日もあります。そこで出てくるのが
「36協定」です。

労働基準法第36条を根拠とするので「サブロク協定」です。

使用者(経営者)と労働組合で残業をここまで認めましょう
「協定書」を結ぶのでこの呼び方です。

協定書を結ぶ要件が決められた法律にはどんなことが書いてあるか
というと、

残業は
月45時間
年360時間まで
とあります。これが最低条件です。

これを超えることが
36協定違反です。

36協定を結んでいないのは論外ですが
労基署に届け出してない場合も違反となります。

罰則規定では
6か月以下の懲役
または30万円以下の罰金
とあります。

  「今月残業50時間だったけど大丈夫?」
という場合は原則は違反ですが、

御社で「特別条項」が附則されていればその上の
360時間を超えなければ、とりあえずセーフです。

但し、考えてみてください。
年360時間ということは、
月30時間です。完全週休2日であれば

年間労働日数は261日ですので、
※365日÷7日×5日

1日1時間23分しか
残業はできません。

日曜日しか休まない企業は
その半分です。
(但し休日出勤扱いしている場合は時間外労働に含めません)

毎日2~3時間残業している人は働き過ぎということです。


 

【なぜ不払いになるのか】

法定の原則的な労働時間
1日8時間
週40時間を超えた場合は
割増賃金が発生します。

これを時間外労働といいますが
通常の1.25倍で、
さらに60時間以上は1.5倍に
深夜の時間帯に残業すると割増に
上乗せして深夜割増が付きます。

これらを上乗せしないと
不払いになります。

週40時間制にしていて、毎日8時間働く企業で
週6日働くことになったときは
6日目分はすべて割増になります。
これを計算していない場合も不払いになります。

1日の所定を7時間にするという
特別なやり方もありますが、届け出が必要ですので、
詳しくは社労士さんに確認してください。

ここでいう「週」というのは企業ごとに違います。

4月1日始まりの企業は2015年の場合

水曜日でしたので、2015年度は
水~火曜日が1週間です。

中間に祭日があって、そこをうまく利用すれば。。。などと、
モノサシを個人的な考えで変えることはできませんので。念のため。

もしも、もしも、
年360時間を超える残業となって
しまった場合は、違反は違反ですが
きちんと残業代を支払ってください。

 


 【残業代以外にも不払いの原因が】

各都道府県別に「最低賃金」が定められています。
表記が時間当たりのため、アルバイトの給料のようですが、
正社員にも適用されます。

全国で一番高い東京都を例にすると
平成26年10月1日発効の金額は888円です。

だいたい毎年同じ日に変わるので、覚えておくと間違いはないです。

正社員の最低賃金はいくらでしょうか。
【計算方法】
年365日÷7日×40時間÷12か月
≒174時間(月平均所定時間)

174時間×事業所所在地の最低賃金=
これで、正社員の最低賃金が出ます。

東京都の場合
今年は154,512円となって、
だいたい155,000円払っていれば
問題ないということになります。

「5年前から150,000円のまま」というのはダメです。

当時は良かったでしょうが、最低賃金が変わったら違反です。

「家族手当や精勤手当を足せば大丈夫でしょ?」
ということにはなりません。手当は属人的なもので、条件によって変わります。

総額ではなくあくまで、基本給で計算します。

 


【こんなものまで?と思う不払いの原因が】

どこまでを「業務」とするか、それにより支払う基準が変わります。

9時始業としている場合に朝礼を8時50分から行っている、というのはアウトです。

制服着用を義務付けている場合に、着替える時間も「業務」だと指摘されます。
これは、現実的にちょっと違うんじゃないかな?
といまいち納得していないのですが、
労基署の監督官に言わせると、そうなのです。
いや、これが労働基準法なのです。というほうが正しいですね。
労働者を守るための法律です。

定休日のない365日営業の職場でしたので、
休みの振り替えなどで対応することもあり
(※月間変形労働時間制を実施していました)
年次有給休暇を取れる状況にはしていたものの、
「半分以上は全員取得できるようにしてください」などと指摘されたこともありました。

労基署の方も、大変だなと思います。。
法律をそのまま適用すると、現実に合わないことがあるのですが、
例外を認めることができない事情もよくわかります。

その時ばかりは他に指摘できることがなかったのだろう、と思うことにしました。

しかし、時々びっくりするようなことを指摘されたりします。
ですが、社員との良好な関係を保ち、離職率を下げるために
企業が負う責任は重大なのです。


【雇用契約書は結べていますか】

労基署の方も、仕事とはいえ、労働トラブルの仲裁は大変なのです。
不払い以外で、検査で指摘されやすいのは、雇用契約書の不備です。
労働トラブルの原因の第一は、
雇用条件を明確にしないで雇い入れることが挙げられます。

雇用条件の明示については、労働基準法第15条に定められています。

要件を満たすために
1. 使用者が労働者を採用するときは、賃金、労働時間その他の労働条件を書面などで明示しなければなりません。
2. 明示された労働条件が事実と相違している場合、労働者は即時に労働契約を解除することができます。
3. 2. の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から14日以内に帰郷する場合、使用者は必要な旅費等を負担しなければなりません。

【書面交付による明示事項】
1.労働契約の期間
2.就業の場所・従事する業務の内容
3.始業・終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、交替制勤務をさせる場合は就業時転換(交替期日あるいは交替順序等)に関する事項
4.賃金の決定・計算・支払方法、賃金の締切・支払の時期に関する事項
5.退職に関する事項(解雇の事由を含む)

これが最低条件です。
その他に制度を設けている場合や、試用期間中は他の従業員と待遇を変えたり、教育訓練後に一定条件を満たさないときに契約を解除する場合などは、事前に伝える必要があります。

面接して、即「明日から働いてよ」などと簡単に済ませていると、あとで手痛い目にあいます。

長くなりましたが、
雇い主の責任は重大です。

意図せず、ブラック企業などと不名誉なレッテルを貼られないよう、
しっかりと対策をお願い致します。

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